振り付けに挑むダンサーに訊く【仲田直樹】
7月6日に開催する「NEXT」公演では、5人のダンサーがそれぞれの振付作品を披露します。
現在リハーサル真っただ中の彼らに、創作のきっかけやリハーサルの様子などをききました。
ミニインタビュー:仲田直樹

「Malasangre」©Kiyonori Hasegawa
今回振り付ける『目醒めの子守唄』。どんな作品なのでしょうか?
いちばん最初の着想としては、”境界線はどこにあるのか” “その線の上にいた場合どちらに属すのか”という疑問から始まりました。
そこから、より内面的な世界を見せられないかと構想を練り、”意識”と”無意識”の境界・共存をテーマに、「様々な感情を初めて獲得していく人間がその瞬間に見る内面の景色を表したい」と創り始めました。
意思が芽生え意志を持ち、自らで選択することの難しさと素晴らしさ。そして、それを促し見守る人間の苦悩を見せられたらと思っています。

仲田さんも関口さん同様、バレエ団で振付作品を発表するのは二度目となりますね。
前回の「Resonate」で上演した『What about …』は、音楽は自作の1曲のみ、1場面のみで完結するものでした。
今回は既存の5曲を使用し13名のダンサーが出演するので、まず作品の規模が大きく異なります。曲ごとにハッキリと質感を変え、ただ抽象的ではあるものの一貫してドラマが見えるように意識しています。そして垣間見えるそのドラマは、観る人によって感じ方も変わってくるだろうなと思っています。


振付やリハーサルはどのように進めていますか?
渡した振りを何度でも僕が全力で踊って見せて振付進行しています。何度でも全力です(笑)
動き/ニュアンスや場面の意味を言葉で明確にダンサーへ伝えることを大事にしながらも、自分が全力で踊って見せることでエネルギー感や間の取り方を共有できたら、と思っています。
その上で、ダンサーから見える個々の長所や新しい発見など、ダンサーにとって動きやすく作品にとって良き方向に向かえる瞬間が見えたら、惜しみなく採用してそこから派生させるよう心掛けてます。


最後にお客様に向けて一言いただけますか?
「ダンスは雄弁だ」
未だ言語化されていない感情や状況を、心だけで感じられる機会に立ち会えるのが踊りをはじめとする「創作」の良いところだという信念を僕はもっています。
なのでどうか構えず、「理解しなきゃ」とも思わず、観て感じたままの思いを、その形のままで吟味していただきたいです。観ていただいた方々それぞれに湧いた感情や考察、そのすべてが僕の作品の正解なのです。
そしてダンサーそれぞれが思い描くそれぞれの世界も、彼らの身体表現を通して楽しんでいただけたらと思います。

スターダンサーズ・バレエ団公演〈NEXT〉Vol.2
2025年7月6日(日)14:00
テアトロ・ジーリオ・ショウワ
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