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ローザンヌ国際バレエコンクールの思い出(後編) 早乙女愛毬・佐野朋太郎・髙橋茉由

毎年1月~2月にスイス・ローザンヌで開催される「ローザンヌ国際バレエコンクール」。
日本でも”若手ダンサーの登竜門”として、バレエ関係者以外にも広く知られているコンクールです。

コンクールの決戦の模様は、日本でも例年5月~6月頃にNHKにて放送されています。
2023年はコンクール創設50周年を記念して、7月1日(土)午後4時~、NHKのEテレにて「ローザンヌ国際バレエコンクール 50周年特番」が放送予定とのこと。

そこで今回のブログでは、ローザンヌ国際バレエコンクールに出場したことがあるダンサー6名に、出場時のエピソードについてインタビュー!
今だから話せるエピソードや、コンクール出場を目指す若手ダンサーの皆さんへのアドバイスなどを話してくれました。
こちらの後編では、共に2012年に出場した早乙女愛毬佐野朋太郎髙橋茉由のインタビューをお届けいたします。

ブログ前編はこちらからお読みいただけます!


ローザンヌ国際バレエコンクールは出場に際してハードルが高いコンクールだと思いますが、皆さんが参加を決めた理由を教えてください。

 

早乙女 私が出場した前の年に、同じスタジオ出身の堀沢悠子ちゃんが出場していました。当時はインターネットで決戦の様子しか見ることができませんでしたが、入賞した悠子ちゃんが本当に本当にかっこよくてとても感動したんです。そんな悠子ちゃんに憧れていたことももちろんありますが、とにかく何かにチャレンジして成長しなきゃ!と当時の自分は思って、出場を決めたのかなと思います。憧れていた悠子ちゃんと、今また同じバレエ団で踊ることができてとても幸せです。
国内のコンクールでの成績も無かった私でしたが、先生方からローザンヌにチャレンジする許可をいただきました。厳しくも愛のある指導をしていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

佐野 同じスタジオ出身の先輩方が毎年出場している憧れの国際コンクールだったので、僕も出場してみたいと思い参加を決めました。

 

髙橋 地元のスタジオの先輩が出場していて憧れの気持ちがあり、先生に勧めていただいて挑戦しようと決めました。

 

参加してみて驚いたことや、他のコンクールとの違いなどは覚えていますか?

 

早乙女 やはり期間が長いことでしょうか。舞台上での課題曲を一回踊って評価されるのではなく、約1週間、バレエクラス、コンテンポラリークラス、課題曲のコーチングなどに審査員がいらっしゃいます。また、ビデオ審査や書類審査が本戦前にあるのも他のコンクールとは少し異なるかもしれません。

 

佐野 課題曲のヴァリエーションだけではなくレッスンも審査対象であることと、国際コンクールなので様々な国の人達がいたことがとても刺激的でした。

 

髙橋 私も、本番での踊りが審査される以外に、クラスレッスン、コンテンポラリークラスでの即興、コーチングを受けている様子など幅広く審査されることが印象的でした。今思えば、どれもプロのダンサーとして欠かせない要素だったんだなと思います。

 

コンテンポラリーの練習について教えてください。クラシックと比べると踊り慣れていなかったと思いますが、コンクールに向けてどのように対策しましたか?

 

早乙女 当時はコンテンポラリーというジャンルに慣れていなくて、映像から振りを移す段階から苦戦していました。とても未熟な私でしたが、先生方にとにかく助けていただいたほか、出身スタジオの大先輩である渡辺レイさんにもユーモアと愛にあふれた指導をたくさんしていただきました。苦手意識のあったコンテンポラリーでしたが、レイさんから様々なアプローチをしていただき、本番ではとても楽しく踊れました!

 

佐野 僕はローザンヌの前に日本のコンクールで何度か踊ることで練習を重ねました。

 

髙橋 複雑な動きを理解するために、デモンストレーションの映像を何度も見たことを覚えています。動きを真似するだけでなく、同時に自分の踊り方を見つけていくのが難しかったです。

 

コンクール出場中の出来事で、今でも特に印象に残っているエピソードはありますか?

 

早乙女 会場であるボーリュ劇場の舞台が斜めになっていることです!アップステージ(舞台の奥)へ走る時は小さな坂道を登る感覚でした。練習スペースも斜めに作られていたので、徐々に慣れていきました。
また、審査員の方は皆さんバレエ雑誌で見たことのあるスターの方たちばかりで…「うわぁ、実在するんだぁ」という気持ちになりました。

 

佐野 僕もヴァリエーションの練習をしたとき、”舞台が斜めであること”が自分の普段の感覚と全然違って、慣れるまでとても大変でした。クラスでも審査員の人達が前に並んでいて、とても緊張しました。

 

髙橋 特にコンテンポラリークラスやレパートリークラスの時に、周りのダンサーは自己表現がとても上手で、圧倒されました。決められた動きを練習するだけではなく、その次のステップに進まないと、と感じた記憶があります。

 

当時一緒に出場したダンサーで、いまでも交友関係が続いている人などいますか?

 

早乙女 同じ年に出場した佐野朋太郎くんと髙橋茉由ちゃんとまた再会できるとは思っていなかったので嬉しいです!
そして一方的な片想いですが…この年に優勝された菅井円加さん(ハンブルク・バレエ団プリンシパル)が当時からずっと大好きです。

 

佐野 二人とはこのバレエ団で久しぶりに再会することができました。

 

髙橋 私も、10年の時を経てこうして二人と同じバレエ団でクラスやリハーサルが出来ていることを嬉しく思います。

 

ローザンヌ国際バレエコンクールを目指している方へ伝えたいアドバイスやメッセージをお願いします。

 

早乙女 辛い時も笑顔を忘れず、目標に向かって進んでください!

 

佐野 このコンクールは、入賞はできなかったとしても自分にとってとても良い経験ができるコンクールなので、ぜひ挑戦してもらいたいです。

 

髙橋 多くのことを吸収できる貴重な機会になると思うので、自分らしさを忘れず、日々の練習に励んでほしいと思います。応援しています!
 


2012年にローザンヌ国際バレエコンクールに挑戦した早乙女愛毬、佐野朋太郎、髙橋茉由のインタビューをお届けしました!
同じ年に出場した3名が現在同じバレエ団に所属しているとは、やはり「バレエ界は狭い」と言えそうです。
※コンクール会場である「ボーリュ劇場の傾斜の付いた舞台」について話してくれていますが、ボーリュ劇場は2019年から3年間にわたる改修工事を経て、勾配のない舞台になったそうです。(こちらのバレエチャンネルの記事参照)

7月1日にはNHKで放送される番組を見ながら、今回ブログに登場してくれた6名のことも思い出してくださると嬉しいです!

※ブログアイキャッチ画像提供:早乙女愛毬

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