学校公演でのダンサーの1日
9月に始まった文化庁事業による学校巡回公演。SDBはこの事業に2008年より参加し、今年で10年目になります。
伺う学校は生徒数や規模も様々。子どもたちの純粋な反応を至近距離で感じられるこの機会を、とても貴重で大切な機会と考え取り組んできました。
今年度訪れるのは、北海道・東北エリアの計15校。小学校10校、中学校3校、特別支援学校2校です。
これまでに10校で公演を終え、残すところ5校となりました。
学校から学校へと公演会場を移しながら行う巡回公演。ダンサーたちは、どのような1日を過ごしているのでしょう。
第2部「シンデレラ」でシンデレラ役を務める渡辺恭子のとある1日を追ってみました。
学校公演は2部構成。第1部は総監督小山久美によるお話とバレエのデモンストレーションを披露する「バレエってなに?」、第2部は学校公演バージョンにアレンジした「シンデレラ」を上演します。
学校公演中、ダンサーはホテル生活です。宿泊しているホテルを出発、バスで学校へ向かいます。
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学校に到着すると、楽屋代わりに使わせていただく教室や会議室へ。レッスンウェアに着替えて、シニヨンを作ります。
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本番の前日には技術スタッフさんたちが仕込みを終えています。
体育館のステージは前方に張り出されより広く、さらにバレエ用の床「リノリウム」が敷いてあります。
このステージを使って、スタジオと同様にクラスを行います。
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その前に!シンデレラで用いる小道具も舞台裏に用意しておきます。
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パン、ガラスの靴、ティアラなど
クラスが終わると、舞台上の立ち位置を決める「場当たり」をしたのち、GP(ゲネプロ:本番と同じ環境での通し稽古)を行います。
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「シンデレラ」王子役を務める林田翔平とのリハーサル中。
ダンサーのGPが終わると、今度はステージを一緒に作ってくれる児童生徒の皆さんとのリハーサルです。
小学校の公演では、第1部「バレエってなに?」においてワークショップで練習したワルツステップを披露してくれるほか、第2部「シンデレラ」で王子が靴を頼りにシンデレラを探すシーンに出演します。
それぞれに出演するメンバーたちは、演出の鈴木稔の指導の下リハーサルを行い本番に備えます。
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子どもたちは皆緊張した面持ち。鈴木の話を聞く姿は真剣です。
ダンサーはそれぞれに本番に向けての準備を始めます。
お昼のお弁当は、現地の学校に発注を依頼。ご当地のものが入っていることもあり、ダンサーもスタッフも毎回楽しみにしています。
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お昼を食べたらメイク開始です。
「メイクが上手ではないので日々研究です。付けまつげの付け方は特に意識していることのひとつです。ダンサー同士、アドバイスし合ったり、直したりもしています。」
だいたい20分くらいで完成するのだそう。
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メイクを終え、衣裳に着替えたら準備完了です!
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総監督小山久美がバレエを分かりやすくご紹介するほか、リフト体験やマイム解説も行う第1部が始まりました。
その間、シンデレラは第2部開演に向けて舞台裏に入ります。
最終的な小道具のチェックを済ませ、いざ本番です!
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鏡には、暗い袖中でも見えるようにライトがついています
総監督小山の解説とともに開演です。
一見、劇場の床と何ら変わりませんが、踊る感覚はだいぶ異なるのだとか。
「増設した舞台の床は、劇場の床よりバネがあり飛びやすい分、コントロールは大変です。
ただ客席との距離が近い分、子どもたちの反応を肌で感じることができ、更にやり甲斐を感じたり、こちらが純粋な子どもたちの反応に感動してしまうこともあります。」
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舞台袖からの眺め。ここが体育館であることを忘れてしまいそうです。
無事にシンデレラが終演し、ほっと一息。
最後には、児童代表の生徒さんからお礼の言葉をいただきました。
本番が終わると着替えてメイクを落とし、片付け・移動の準備をはじめます。
すぐに次の目的地へ移動しなければならず、通常より短い時間で準備を終えなくてはならないため、ダンサーも手分けしてお手伝いします。
こちらは衣裳の乾燥をしているところ。
ダンサーの汗が染みついた衣裳は、すぐに乾燥させるのが鉄則です。
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それから、乾燥させた衣裳やその他の備品など、トラックに乗せる荷物をまとめます。
その間、体育館では技術スタッフさんたちによる撤収作業が手際よく進んでいきます。体育館ステージも、また普段の姿へ元通り。
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学校を出る前、公演を観てくれた子どもたちにサインを求められました。
「バスで学校を出る時に、走りながら手を振って見送ってくれた生徒さんたちもいて、とても嬉しいです。」
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再びバスに乗り込んでホテルへ戻ります。今日の学校公演はこれにて終了です。
学校公演ツアーは、長ければ2週間続くことも。このような毎日を過ごしながら、学校公演の旅は続いていくのです。
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密着した渡辺恭子に、学校公演とはどのようなものなのか、改めて聞いてみました。
「学校公演は、普段の劇場とは違い、観客、そしてスタッフさんとも1日を通して距離がとても近いです。
子どもたちの反応や感想には学ぶことが多くあり、バレエを通して通じ合えるものの多さを改めて実感できる舞台です。
また、普段なかなか分からないスタッフさんたちのお仕事を間近で見ることができるので、どういう準備があって初めて舞台に立つことができているのか考えさせられます。」
さて、なかなか外からでは分からない学校公演におけるダンサーの1日を追った今回、いかがでしたか?
今年度残りの学校でも、また子どもたちのたくさんの笑顔に出会えることを楽しみにしています。