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Dancer to Dancer/渡辺恭子

「Dancer to Dancer」は、ダンサーによるダンサー紹介企画です。

 

今回のダンサー:渡辺恭子

紹介者:金子紗也


 

彼女と初めて出会ったのは15年前に出場したジャクソン国際バレエコンクールでした。

 

当時フランスにいた彼女はフランスから、私は日本からの出場で、滞在期間約1ヵ月を同室で過ごしました。その頃から舞台上では目を見張る実力を発揮するダンサーでしたが、舞台からひとたび降りると、日本語が苦手で、彼女の周りだけ時間がゆったり流れているようなフワフワした少女だったのを今でも覚えています。

 

ピーター・ライト版「コッペリア」フランツ:ジョセフ・ケイリー(2016) ©A.I Co.,Ltd.

 

それから月日が流れ、再会したのがSDBのオーディション。

出会った頃の印象とは打って変わり、物事に対して明確な考えを持ち、自分の意見をはっきりと言う彼女とはすぐに仲良くなり、同期として入団してからあっという間に10年が経ちました。

 

中学2年生からフランスに渡り、スイスとドイツのカンパニーで経験を積んだ彼女の踊りは、多くの作品を学び、世界の良い舞台を観て、それらを吸収してきたことが感じられます。

その軸となるのが日々のクラスに臨む姿勢。毎日のレッスンは、リハーサルとは違って同じことの繰り返しで疎かになりがちですが、彼女は日々の体調と向き合い、その時期の舞台に必要なことを分析して取り組んでいます。圧倒的なテクニックや体幹は、そのような姿勢の賜物だと思っていつも見ています。

 

 

白鳥の湖(全1幕)王子:林田翔平(2018)©Kiyonori Hasegawa

 

2013年からは文化庁在外研修員としてドイツの『Badischesstaats Theater Karlsruhe(カールスルーエ・バレエ)』で2年間研鑽を積み、彼女は更に進化して帰国しました。

集団における秩序や調和、礼儀などを重んじる日本人らしさに加え、時に自分の意見をはっきり伝える西洋の心をも備え、それが多くのお客様を魅了する踊りにつながっているのだと思います。

 

バレエ団の仲間としてもプライベートでの友としても、尊敬し信頼している彼女の存在があったからこそ、私も良い刺激をもらい、日々頑張ろうと思うことができ、とても感謝しています。

そして、一度しかない人生、出会える人も限られている中で、バレリーナ渡辺恭子に出会えたことをとても幸せに思っています!

これからも彼女の1番のファンであり、友でいたいと思っています。

 

ピーター・ライト版「ジゼル」(2017) アルブレヒト:林田翔平 ©Kiyonori Hasegawa

 

 

(文・金子紗也)


渡辺恭子は、12月公演「くるみ割り人形」においてクララを演じます。

くるみ割り人形公演ページはこちらから

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