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「くるみ割り人形」~王子たちの座談会~

今年も残すところあと1か月となり、あっという間に「くるみ割り人形」の季節がやってきました。

本番まで約2週間となった11月下旬、今年王子役を演じる池田武志、石川龍之介、林田翔平の3人に集まってもらい、座談会を開催!王子という役へのアプローチ方法、大切に考えているシーンのことなど、今すぐ公演を観たくなる、楽しいトークを繰り広げてくれました♪

 


 

今日は集まっていただきありがとうございます。鈴木稔版「くるみ割り人形」では、池田さんと林田さんは王子役デビューから7年、そして石川さんは今回初めての王子役ですね。

 

池田林田 僕たちも歴が長くなってきました(笑)

 

石川 もうベテランだね。

 

林田 龍は若々しいですよ。

 

池田 僕と同い年と思えないくらいです。

 

池田と林田が初めて王子を演じた2017年の公演より。

 

鈴木稔版「くるみ割り人形」の王子について、細かいキャラクター設定は皆さん個人に任されているのですか?ご自身では、どんな王子だと思いながら演じているのでしょうか?

 

石川 1幕でクララと出会ったときに照れている感じや、2幕で両親(王様、王妃様)と再会するシーンなどをみていると、ピュアというか…、もちろん「人形の国」の王子ではあるんだけど、「うぶい」一面もあるかなと思っています。

 

池田林田 「うぶい」!(笑)

 

池田 鈴木稔版だと、いわゆる王子らしさが求められるのは2幕のグラン・パ・ド・ドゥのシーンに限られていて、「王子という地位にはいるけど普通の男の子」っていう点は、クララとも共通しているかなと思います。クララも、「普通の家庭の女の子」という設定なので。「キャラクター設定がある」というよりは、リアルな人物像が描かれているなと思っています。

 

石川 クララと王子の目線が一緒だよね。このバージョンのクララは、とてもしっかりしているなと思います。

 

林田 この座談会、もう始まってるの…?(ここで石川が「始まってます。録音されてますよ!(笑)」と返事)イメージとしてはいま二人が言ったのと同じ感じですね。

 

池田 これ話す順番によっては、最後の人が全部「そんな感じですね」で終わるやつ(笑)

 

林田 先に全部出されちゃう(笑) 細かい役作りはひとりひとりで違う、っていう感じですね。

 

池田 それぞれが思い描いている性格はきっと違うよね。

 

林田 性格ね…どうなんだろ?

 

池田 クララとの年齢差が、同い年なのかお兄さんなのか、その違いによっても変わってくるよね。

 

石川 僕は王子の方がちょっと年上かなと思う。

 

林田 若いなりに、年上ね。年上なんだけど、ちょっと一目惚れ気味な王子ね(笑)

 

池田 翔平さんも僕も何人かのパートナーと踊ってきたので、相手がどういうクララを演じるかによってこちらの設定も変わりますね。僕はこれまで、例えば恭子さん(※渡辺恭子)と踊る時は同い年くらいのイメージ、綾菜(※塩谷綾菜)は天真爛漫な感じを持っているので、こちらはちょっと年上の雰囲気で待ってあげる感じ、っていうのを試したりしています。

 

石川 クララの方が年下なイメージではあるんですが、今回パートナーが恭子さんという、これまで何度もクララを踊ってきた大先輩なので、結果としては同い年くらいの感じになっているかもしれないです。

 

池田 王子がクララに引っ張っていかれる部分があっても良いんじゃないかな?僕も去年まで6年踊ってきて、自分の中で毎回設定は変えています。突き進むクララを後ろからついていって支える感じ、逆に引っ張っていく感じなど、設定の自由度が高いところが作品の魅力の一つだと思います。

 

王子7年目となる池田武志。(散らかり気味の背景を隠すために加工したところ、少し怪しい感じに…。雑な処理申し訳ございません!)

 

鈴木稔版の特徴の一つである、2幕のクララの決断について、王子の立場からはどのように思っているのでしょう…?

 

池田 クララが最後の決断をするときって、もともとの音楽の長さの都合もあり、すごく短い時間じゃないですか。独特の編曲でそこのシーンを長くしてはいますが、それでも難しいシーンですね。その時のクララの決断を言われた王子が、どういう心情になるか…。

 

石川 あの編曲されているところ、鈴木稔版ならではの演出で好きです。ほかの人形たちには聴こえていないけど、クララにだけ聴こえていて、「あれっ」となる。

 

林田 このシーンも、パートナーがそこまでをどう作り上げてくるかによってだいぶ変わりますね。これまで僕は多くのクララと組んできましたが、わりとあっさりなクララもいれば、もっと余韻が残るクララもいました。そういう違いによって、こちらも寂しさの表現が変わったりします。

 

石川 僕は、王子はクララの決断を受け入れてはいないと思っていて…。彼女の今後の幸せを考えて尊重はするけど、こちらとしては飲み込めてはいない、切り替わってはいない感じかなと思っています。

 

池田 切り替えるのは難しいよね。そういう場面に直面したら、若い男の子は絶対に打ちひしがれるし、立ち直れないのは当然のことかなと。でも彼が普通の男の子と違うのは、王国の王子という立場があること。慕って信じてくれる仲間の人形たちのことを考えたときに、自分として切ない思いはあるけど、それを抱えても仲間たちを包もうという王様的な要素を、彼らがいる後ろを振り返るあの瞬間に、備えるのかなと考えています。

 

石川 あの門のところのシーンは、他の人形たちも見送りに来てくれていることによって「王国を背負ってる感」が出ているなと思います。みんながいるから、自分も大丈夫、もう行こうってなるのかなと。

 

池田 このバージョンは人形たちもずっと一緒に冒険してくれているからね。「王国のみんなと一緒に」という想いがありますね。

 

登場人物たちの様々な想いが交錯するシーンです。

 

皆さんの中で印象的なシーンはどのシーンでしょうか?

 

池田 どの場面で王子はクララに対して特別な気持ちを持つのか?というところは、お客様は毎回「ここだ」と思われるかもしれませんが、自分の中で毎回変えています。最近では雪のシーンで、無邪気で楽しそうなクララの姿を見て、この子を王国に連れて行こうという気持ちになるのかなと考えています。出会ったときは感謝の気持ちで国に招待するという意味合いが強かったのが、雪のシーンで「特別な思い」を抱くのかなと。出会いのパドドゥでその気持ちが始まって、雪のところで確信に変わるという持って行き方が多いです。

 

石川 ポアントを履かない雪って珍しいよね。吹雪いてる感じがよく出ているなかで、ふたりできゃっきゃっとしてて楽しそうな場面だなと思います。

 

観ているこちらも微笑んでしまう、雪のシーンでのクララと王子。

 

林田 僕も雪のシーンはずっと好きなんですけど、1幕のマーケットのシーンに出て色々やってみたいという願望が最近強いです。王子はマーケットのシーンには全く絡まないので。

 

池田 僕もずっとマーケットに出たいと思ってる。

 

石川 マーケットのシーンのセット、本物みたいですごいよね。

 

池田 リアルに作りこまれているからこそ、人形の国との対比が際立っているかもしれないね。人形の国は、門に雲がかかっているところとか、非現実感があるかなと。

 

石川 現実の世界と夢の国、空の上、みたいな違い。

 

林田 僕はただただマーケットのシーンに出たい…(笑)

 

石川 どれだけマーケット好きなんですか(笑)

 

でも、くるみ割り人形としてマーケットのお店に置かれていた?という視点も…?

 

池田 ドロッセルマイヤーにどのような思惑があったのかというところは、考察の余地がありますね。

 

石川 良い人なのか悪い人なのか。最後おいしいところを持って行くよね。

 

林田 そこは鴻巣明史先輩にインタビューしていただいて。

 

池田 初演からずっと演じているから。僕はドロッセルマイヤーも演じてみたいです。

 

林田 僕もドロッセルマイヤーを演じてみたいので、次世代王子にも期待しています。

 

ドロッセルマイヤーの目的とは…?

 

王子を演じるうえで、難しいと感じている点はありますか?林田さんは2019年のブログで、「何をやっても王子でいなければいけないところが難しい」と言っていましたが、変化はありますか?

 

林田 言った記憶はないのですが、変わっていないですね…。その時に比べたら色々な役を経験してきたこともあり、より自由に演じたい場面も出てきているのですが、自由度が高いとはいえ、やっぱり王子らしさを残す必要があります。雪のシーンもクララと楽しんでいるけど、ただの少年になってはいけないという難しいところがあります。

 

石川 僕も同じですね。稔先生は「生の演技」を求めるのですが、お客様から観たときには「王子とわかる何か」が残っていないといけないので…。

 

池田 稔さんが言う「生の演技」は、僕の解釈だと「躊躇しなくていい」ということかなと。自分たちが思い描いたことを王子という役に乗せてやらなければいけない。何をしてても、どんな時も王子らしさを残しておくことは、いわゆる古典的イメージの王子を演じ続けることより難しいかもしれないですね。ときめく瞬間、両親との再会、最後少し傷ついてしまって…そういう場面で普通の男の子の感覚を出しつつも、気品を忘れてはいけないです。

 

1幕のクララと王子のパ・ド・ドゥより。

 

2幕のグラン・パ・ド・ドゥのヴァリエーションは、皆さんそれぞれで振付が違いますよね?

 

池田 どこまで言っていんだろう?(笑)

 

石川 僕は稔先生から、「自分が面白いと思えればいい」と言われました。

 

池田 2017年に初めて演じた時、「とりあえず自分が得意なものをやってみて」と言われて、そのときの振付がほぼそのまま採用されています。

 

林田 僕は得意なものがないからどうしようと思っていたら(笑)、稔先生がいくつかアイデアを出してくれたんだけど、それがすごくきつかった。2年目からは、1年目の反省もふまえて少し変更しました。

 

回答に悩んでいる(?)林田翔平。

 

石川 初演の頃からフリーだったの?反対にクララが踊るヴァリエーションは、パがいろいろ詰め込まれて難しいよね。

 

池田 初演の福原さん(※バレエ・マスターの福原大介)から皆さん違うんじゃないかな?それぞれが輝いて見える振付にしてあると思います。稔さんはご自身の経験から、必死にやっているだけに見えてしまうのものは見せたくない、という想いがあるのかなと思っています。

 

リハーサルが進んでいるなかで、裏話などありますか?

 

池田 ふたりはね…翔平さんはパートナーの玲美ちゃん(※冨岡玲美)が初役、龍之介は自分が初役、ということでとにかく大変かな?

 

石川 何回もクララを演じてきた恭子さんは、「ここはこうしよう」と毎回練習に付き合ってくれていて、感謝しています。

 

池田 僕は綾菜とは2021年も組んだし、彼女は同い年なので「ご自由にどうぞ」という感じというか。綾菜はきゃぴきゃぴした少女感を持っているので、自由にやっていただきつつ、その感じを生かすために自分はどうするのかっていうところですね。

 

林田 僕は、いつもそういうわけではないのですが、今回は僕の方がリードしながらリハーサルを進めている感じです。そして…龍のリハーサルを見ていると、自分の王子1年目をすっごく思い出して。

 

池田 確かに、同じ状況だね。クララが恭子さんで。

 

林田 龍を見ながら、がんばれーって心の中で思っています。僕は当時26歳で、2回主演したんですけど、いろんな不安とプレッシャーがあるなかリハーサルをして…っていう気持ちがとてもよく分かるんです。だからアドバイスをしたくもなるのですが、やっぱり龍のやり方は違うから、簡単にこうじゃない?とは言えないな…と思いながら、リハーサルを見守ってる。

 

石川 翔平さん、武ちゃん、大介さん、いろんな方が、ここはこうしたら?って教えてくださって。本当にみなさんに支えられてやっている感じでありがたいですね。

 

初役となる石川龍之介。

 

周囲に支えられている新王子の誕生がますます楽しみになりました。最後に、お客様へのメッセージをお願いします。

 

池田 僕は今回で7年目なので、きっとずっと前から観てくださっているお客様もいらっしゃると思います。どんな作品でも再演の時は、「前の自分を絶対超える」というのが僕のテーマ。前回との成長や進化も感じてもらえたら嬉しいです。もちろん、初めて観られる方も楽しみにしていてください。ぜひ劇場に観に来てほしいです。

 

林田 (石川に「僕が先でいい?」と確認)僕は、ありがたいことに毎回違うパートナーと演じることが多いんです。毎年フレッシュなキャスティングをお見せできる分、いろいろチャレンジしていかなければいけないこともあります。そういう挑戦が、少しでもお客様に伝わればという想いで、がんばりたいと思います。

 

石川 今回初役、そして入団して初めての大きい役なのですごく緊張しているんですが…。観に来られるお客様は恭子さんのことをもちろん知っていると思うんです。その恭子さんが新しい人と踊るというのはどんな感じになるのかな?というのを楽しみにしていただけたらと思います。劇場でお待ちしています。

 

 


 
リハーサルの合間に、ここでしか聞けないエピソードをたくさん話してくれました。いかがでしたか?
本番の舞台では、彼らのトークも思い出しながら、SDBオリジナルの「くるみ割り人形」の世界をお楽しみください。

「くるみ割り人形」公演情報はこちら

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