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キャストインタビュー【コンサート】岩本悠里&西原友衣菜

ジェローム・ロビンス振付「コンサート」といって、多くの人が思い浮かべるのが、あの“絶対に揃わないバレエ”として有名な「ミステイクワルツ」のシーンではないでしょうか。
一糸乱れぬ動きが評価されるバレエにおいて、あえて揃わせないように計算されたロビンスの振付は、一度観たらもう忘れることはできません。

今回のブログでは、今度9月23、24日に上演する「コンサート」で、そのミステイクワルツに出演する岩本悠里西原友衣菜に話をききました。2人は、ミステイクワルツ以外にも、作中で個性的なキャラクターを演じています。
演じる上でのポイントは?ミステイクワルツの難しさとは?出演ダンサーの話を通して「コンサート」の魅力に迫ります。

(左から)西原友衣菜・岩本悠里

 


「コンサート」は2人とも初めて踊ることになると思います。ベンさんとのリハーサル第1段階を終え、率直にどうでしたか?

岩本 「コンサート」は、踊る部分ももちろんたくさんあるのですが、演技の部分がとても多い作品です。ベンさんが見せてくださる演技のお手本がとても面白くて、「ああこういう人いるいる!」って思いながら見ていました(笑)
なかなか演技の部分がしっくりこなくて頭を抱えることもありましたが、リハーサルは毎回楽しかったです。

今回この作品がバレエ団で上演されるということを知った時からやってみたい!と思っていたので、キャスティングを知った時は本当に嬉しかったです。特にミステイクワルツは昔初めて動画で見た時に大爆笑した記憶があり、それの一員になれたのだと思うと未だにワクワクがとまりません。

西原 私も前に動画で「コンサート」を観たことがあり、面白くとても印象に残る作品だったので、バレエ団で上演すると聞いた時は「え?あの作品?」とワクワクしていました。
ベンさんと1か月ちょっとリハーサルをしてきましたが、一人づつ丁寧にカウントや動きなど見せて教えてくださり、なかなか濃い時間でした。

 

作品は、ピアノコンサートに観に来るお客さんたちを描くシーンで始まります。それぞれ演じるキャラクターについて教えていただけますか?

西原 私は、コンサートを観にやってくる女の子2人組を、東真帆ちゃんと一緒に演じています。
噂話などを楽しそうに話しながら入って来て、席に着くと音楽を静かに聴くのではなく、音をたてながらキャンディーを出そうとして周りの人に怒られたり・・・若い女の子がやってしまいそうな“あるある”が詰まった可愛いらしい役です。

岩本 私はずっと怒っている役どころです(笑)
何に対しても怒ってます。なにがそんなに気に食わないんでしょうね・・・

 

 

どちらもなかなか演じる機会のない設定かもしれないですね(笑)。
それぞれ演じるにあたって意識していることや注目ポイントがあれば教えてください。

西原 全ての動作に決められたカウントがあり、かつナチュラルに演技しなくてはいけないことが想像以上に難しく、カウントを意識しすぎて動きがぎこちなくなってしまったり、ついその役に入り込みすぎてオーバーに演じてしまったり。
キャンディーが入ってるカバンの中をガサゴソと探す演技をするシーンでは、やり過ぎてしまい、ベンさんに「お腹すいてるのか?」と注意されてしまったこともありました・・・(笑)
ベンさんが毎回見せてくださるお手本は本当にナチュラルで、そのお手本を真似しながら自然に演じることを意識しています。

岩本 振付で天を仰ぐ部分があるのですが、「あれもこれもうまくいかない!ああ、私の人生はなんでこうなんだ!」とセリフ付きでベンさんがお手本を見せてくださいました。そこから色々自分なりに汲み取ってセリフをつけて心の中で唱えながら演技するようにしています。
また、オーバーになりすぎないようにとよく注意されました。昔留学していたロシアの学校で演技の授業があったのですが、オーバー気味にやることを求められることが多かったのでそれが染み付いていて(笑)
ナチュラルに、わかりやすく、を心がけています。

 

 

ジェローム・ロビンスは過剰な演技を嫌っていたというのは、先日のミストレスのインタビューでもありました。(ミストレス小山恵美のインタビューはこちら)。あくまでもナチュラルに、というのがポイントなのですね。

さて、次は2人が出演するミステイクワルツについてお聞きします。リハーサルを見ると、振りをあえてずらすタイミングや間のとり方が本当に絶妙だなと感じます。自然に揃えないことは逆に難しいように思うのですが、実際に踊っていて、どうですか?

 

岩本・西原 本当にその通りでとても難しいです・・・(笑)

岩本 右を見るのか左を見るのか、上なのか下なのか、すべてカウントも振りも細かく決まっており、それでいて本当に間違っているように演技をしなければいけません。振りやカウントを間違ってしまえば噛み合わなくなるし、ただ振付のようになってしまっては面白くない。また演技に気を取られ基本技が疎かになってしまってもいけません。色んなことに神経を行き渡らせながら踊らなければいけないので、本当に難しいと思います。
バレエとしてのクオリティを失わず、毎回いかに新鮮に演技できるかがポイントになるのかなと思います。

西原 揃って踊るところは揃えながら、間違えている人につられないように自分の振りを踊り抜くことが意外と難しかったです。全員で違う動きをしなくてはいけないときもあるのですが、つられそうになるのでもう目を瞑りたくなります(笑)
これも間違えてる振りや演技をやり過ぎず、ナチュラルに間違えてるからこそ、お客様に面白く見えるんだなと思います。

 

 

「コンサート」全体で特に好きなシーンはありますか?

 

岩本 どのシーンも面白くて大好きですが、、まずやっぱりミステイクワルツは有名なだけありとても面白いんじゃないかと思います。バレエダンサーなら一度はやらかしかねないミスばっかりで、他人事とは思えません(笑)
あと個人的に好きなのは、夫婦のブラックジョーク満載の場面。ハズバンド役のおふたりはそれぞれ違った魅力でとても面白いし、ワイフの依里さんの絶妙な演技も大好きです。毎回見る度にクスクス笑ってしまいます。

西原 私も好きなシーンはたくさんあるのですが、やっぱりミステイクワルツです。踊っててやってしまいそうなミスを堂々と踊り抜く一人がいたり、その人に惑わされて違うことをしてしまう人がいたり、そんな振付に実際踊っていてもクスッと笑ってしまいそうになります。
今は笑っている余裕なく、頭の中は自分のやるべき振りでいっぱいいっぱいなんですけどね。

 

 

お客様の注目度も一際高いミステイクワルツ。劇場で観るのがとても楽しみです。
最後に、お客様にぜひ注目してほしい!というところを教えてください。

岩本 なんといってもダンサー達の表情、演技ではないでしょうか。ぜひ一人一人注目して見て欲しいです!スタダンのみんなは演技が上手なので、眉毛の動き1つでそのキャラクターの心情が読み取れるはずです。
笑いを取りにいくバレエなんて、この「コンサート」くらいしかないんじゃないでしょうか。美しいバレエの場面、、かと思いきやすぐボケが入ります(笑)
バレエを知っている方はもちろん、よく知らない方も楽しめる作品だと思います。ぜひ会場に足を運んでいただいて、思う存分笑って帰っていただけたら嬉しいです。

西原 あと、舞台ではなかなか声や音をたてることがないのですが、この作品は声を出したり、決められたカウントで自然に音を出さなくてはいけないところがあって。
ネタバレになってしまうのであまりお話しするのは控えますが、小道具にもぜひ注目していただけたらと思います。

 


国内バレエ団による初上演となる「コンサート」、どうぞご期待ください!
続いては「スコッチ・シンフォニー」のキャストインタビューをお送りいたします。お楽しみに。

 

「The Concert」
2022年9月23日(金祝)・24日(土) 東京芸術劇場
チケット好評販売中!
公演情報はこちらから

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